この作品は田能村竹田が頼山陽に授けた『復亦一楽帖』の中に描かれたもので、この一楽帖を手に入れた竹邨がこの上なく愛でて臨写したものです。小竹の跋文も含めて、すべてのページを書き写したものですが、その精巧さは驚くべき出来栄えです。
本物は消失を逃れて、今奈良の寧楽美術館にありますが、重要文化財になっています。竹邨が臨写したこの作品はSAIKO会の役員の手元にあります。
作品紹介
森嶰谷筆『岡城真景図』
天下の名城である岡城を対岸にある片ケ瀬から描いたものです。作者は森懈谷で、岡藩の絵師です。懈谷は田能村竹田より20年若く、この時代に城の全容を詳細に描くことは秘密をばらすような行為とされましたが、すでにその危険性が薄らいでいたと考えられます。市井には田能村直入が描いたものや近代の岡本香邨が描いたものなどが見られますが、それらすべての原図とされたのがこの作品です。それだけに、非常に貴重なものです。
十一石谷筆
嘉永3年(1850年),57歳の作品。
藤米岳筆『富貴図』
明治9年(1876年),23歳の作品。